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日本では何故Liberal Arts教育が出来ないのか(その6)

2012年06月04日 19:20:00
アメリカは完全な「学歴社会」であり、さらにGPA社会である。

日本は「学校歴社会」(注:学歴社会ではない。学校歴社会)である。全員が大学に
行く。そして全員が学士止まり。アメリカで言えばBachelor of Art (BA)止まりであ
る。

アメリカでBachelor of Artではまず職探しは難しいと考えて良い。

日本は全員がBA止まりだから何で競争するかと言うと、どの大学を出たか(学校歴)
で競争する。アメリカはそういう競争はしない。まず学校歴というのは関係ない。で
は何で競争するか。

BAのDegreeではまず就職が難しいと言ったが、その上のDegree、Master of Art 
(MA)は最低必要だと言われている。学歴、つまりDegree競争だ。そして今やPh.D.、
MD、JD、MBA、つまり更にその上の大学院のDegreeを持っていないと駄目である。だ
からアメリカは学歴社会なのだ。

ところが、である。それらのDegreeを持っていても一生付いて回るのがGPAである。

GPAとはGrade Point of Average、すなわちCollege の BAを取る時の成績である。全
校生徒の中で何番で卒業したかというのがGPAであるが、これが就職の時にも一生付
いて回る。

就職試験ではGPAがどれぐらいだったかというのは必ず聞かれる。いくらHarvardの
Collegeを出ていても、GPAが低ければどの企業も見向きもしない。いくらHarvardの
MBAを取っていても同じである。HarvardのBAを取っていても同じである。

そこでアメリカの学生はGPA競争に入る。すなわち大学に入ったら皆必死で勉強す
る。目の色が変わる。Liberal Arts collegeの図書館は、従って深夜まで学生で満員
になる。ちょっとでも試験で良い成績を取ろうというわけだ。GPAが何点以上ならば
どの企業に就職が出来るという大まかな色分けが為されている。GPAが何点以上なら
ば、どの大学院に行けるかも色分けされている。GPA が一定以上でないとCollegeの
卒業も出来ない。

そこでアメリカの学生は大学に入った途端に猛烈に勉強する。そして教授が思ったほ
どの点数を試験でくれなければ、猛然と教授に抗議に行く。皆GPAを少しでも上げよ
うと必死なのだ。GPAとは大学4年間の総合成績のGrade Point of Averageであるか
ら、4年間を通じて全科目の成績の平均点が問題となるのである。これが職探しの履
歴書に必ず記載されるので一生付いて回る。だからアメリカの学生は1年生から4年
生の卒業直前の試験まで必死で勉強する。GPAは4年間のGPAだからだ。

ここでLiberal Arts教育とはGPA競争であることが分かる。

この意味に於いてアメリカは完全なGPA社会である。

日本でLiberal Arts教育が出来ないのは、GPA競争が日本の大学で全くないからであ
る。誰も京大、東大を何番で出るかの競争をしない。日本の大学は、部活と就活の場
であり、GPA競争=Liberal Arts教育の場ではない。